5名のダンサーのモーションデータ、プロジェクション映像、移動ロボットを用い2つのリアルな空間とオンライン上でみせるインスタレーション作品。リアルな表現をバーチャル空間へ展開するだけではなく、ハイブリッド化を行い複数の視点で新しい人間性のための環境を作り出す。メインの展示空間には自動制御で動く5つのキューブと、同じく移動しながら自動で会場を撮影する1台のカメラ、そして壁面と床面に映像を展示。その手前の空間ではAR合成されたダンス映像を上映。存在しないダンサーの映像やモーションデータを利用し、ダンサーの気配を感じながらリアルな空間で鑑賞するダンス映像作品を制作した。また本作のデータを使ったオンライン展示も行い、リアルとバーチャル、オンライン、多層的に鑑賞する作品となった。
<技術解説> 1.移動ロボット 横27m、奥行き7mのステージのエリアを床面と壁面を全面映像で覆い、その中に90cm立方のキューブを5つ走らせている。 キューブの位置は赤外線カメラを用いて精密に位置情報を検出し、互いにぶつかることなくステージ上を移動する。 2.多層的な展示 会場でキューブのみが走るステージの手前には、実際に同空間でダンサーがキューブと共に踊る映像を上映。そこにAR合成でダンサーやキューブに追従したエフェクトを表示。通常では完成されたパフォーマンス映像だけを見る作品が多いが、本作ではパフォーマンス映像と同時に、それを撮影したステージの機構、動いているキューブをリアルタイムに動かすことで、1つは実際にはダンサーはいないが、その気配を感じるようなステージ上のインスタレーションとして、そしてその前室では完成されたパフォーマンスとして、多層的な見方ができる。 また本作品はオンライン上でも同じ空間を3Dで見ることが出来、キューブの位置情報、ダンサーのモーションキャプチャデータ等を用い、違った形でビジュアライズを行った。
Photos.
《Rhizomatiks × ELEVENPLAY “multiplex”》2021 「ライゾマティクス_マルティプレックス」展示風景(東京都現代美術館、2021年) photo by Muryo Homma(Rhizomatiks)
Ars Electronica 2023
“New Animation” Honorary Mention
https://calls.ars.electronica.art/2023/prix/winners/6445/