AI、機械学習を通じて身体と運動を捉え直す―未知の身体像の探求へ
真鍋大度、石橋素を中心としたRhizomatiksでは、演出振付家MIKIKO率いるダンスカンパニー「ELEVENPLAY」と、アメリカのメディアアーティスト&リサーチャーのカイル・マクドナルドを迎え、2018年にダンスパフォーマンス作品「discrete figures」を発表し、公演直後より、世界各地から招聘のオファーがあるなど多くの注目を集めました。
この度は、「discrete figures 2019」として今年4月にアップデートしたばかりの最新版が「LIVE IDEAS FESTIVAL（ライブ・アイディアズ・フェスティバル）」のヘッドライナーとして上演されることとなりました。このフェスティバルは、 毎年異なるテーマにフォーカスし、ディスカッション、インスタレーション、パフォー マンスなどを展開。今年は人工知能（AI）× ART をテーマに、フェスティバルを通じて、AIとパフォーマンスの関係を考察します。
数学的・集合知的な方法を通じて、未知の身体性を探求するダンスパフォーマンスをぜひこの機会にお見逃しなく。
本作は、身体表現と数学の関係の追求から生まれた。それはつまり、数学によって生み出された身体と生身 の身体の関わりについて描いたダンス作品である。 アラン・チューリングは「脳」を数学を用いることによって「身体」の外に対象化し、自分の「身体」の外に 拡張することで、もう一人の自分を作り出した。他人から見ればもう一人の自分は身体とは切り離された 存在だが、チューリングにとってその身体は他者ではなく身体そのものであり数学をすることで生み出さ れた鏡である。―真鍋大度
Rhizomatiks Researchは、ライゾマティクスの研究開発部門として、2015年に真鍋大度、石橋素の共同主宰のもとスタートしました。
本作品は、これまで継続的にメディアテクノロジーを進化させた精鋭的な表現に加え、先端的な 演出技術への挑戦として、最新の機械学習の研究成果をダンスに取り込み、これまでにない知的な振り付けによる身体表現を可能にしています。 従来の画一化されたダンス表現から逸脱し、人間の主観や感情表現を越えた挑戦的な試みが高く評価され、本作は、第22回文化庁メディア芸術祭アート部門の優秀賞を受賞しました。
AIと機械学習による組織化を通じて身体像と運動を捉え直し、その数値データと分析結果をダンス表現と振り付けに導入する方法をとりながら、ステージでは、インタラクティブインスタレーションとしての空間構造も意識しています。
さまざまなルール、アルゴリズムの元でステージ上の複数のオブジェクトが、ダンサーによる身体表現に対応した動きを構成することで、これまでに全く実現されなかった数学的・集合知的な方法からの未知の身体性を探求するステージが誕生しました。
コメント
素晴らしいパフォーマンス、それを満喫する観客。全く特別な夜だった。ダンサーが自らのバーチャルな影とインタラクトする、言わば未来の頂点であった。2018年4月のモントリオールで、大変ユニークで時代の先を行く作品 ‘discrete figures’ の世界初演に立ち会えたことをとても光栄に思う。
―アラン・モンゴー（MUTEK ファウンダー/ディレクター）
開催概要
Rhizomatiks Research x ELEVENPLAY x Kyle McDonald
「discrete figures 2019」
2019年5月8日（水）〜11日（土）各日20:30 開演
ニューヨーク・ライブ・アーツ/ニューヨーク（219 W 19th Street, New York, NY 10011）
スケジュール
5月8日（水）20:30開演
※公演前にロビーにてオープニングナイトレセプションを実施
5月9日（木）20:30開演
5月10日（金）20:30開演 ※ポストトークあり
5月11日（土）20:30開演
巡回情報
2019年
サンフランシスコ公演/アメリカ 5月17日（金）、18日（土）
ニューヨーク公演/アメリカ 5月8日（水）、9日（木）、10日（金）、11日（土）
アイントホーフェン公演/オランダ 4月2日（火）、3日（水）
デュッセルドルフ公演/ドイツ 3月29日（金）、30日（土）、31日（日）
2018年
マドリード公演/スペイン 11月13日（火）
バルセロナ公演/スペイン 11月10日（土）
東京公演 8月31日（金）、9月1日（土）、2日（日）
サンフランシスコ公演/アメリカ 4月19日（木）、20日（金）、21日（土）
モントリオール公演/カナダ 4月13日（金）★世界初演