ライゾマティクス_マルティプレックス

東京都現代美術館
March 20, 2021

2021年に設立15周年を迎えるライゾマティクスの美術館における初の大規模個展。

これまで展開してきた領域横断的なクリエイションを展望するとともに、過去の作品もバージョンアップすることで新作を展示。会期中、新型コロナウィルス感染症の蔓延に伴い2度の休館(4月25日〜5月11日/5月12日〜31日)を余儀なくされたが、(1)オンライン会場での鑑賞体験の提供(会期中のユーザ数2.4万、PV数27万)、(2) 会場中庭(サンクンガーデン)をRTK Laser Robotics Experimentが走行する様子を配信、(3)休館中の展示室内から真鍋大度、石橋素本人による作品解説と本展キュレーター 長谷川祐子氏(2021年4月より金沢21世紀美術館館長)のトークセッションをライゾマティクス独自の配信イベント Staying Tokyo実施し、社会の変化に柔軟に対応する展示を試みた。
完全予約制及び予約優先性を導入した開館日数53日で50,000人を超える来場者を迎える結果となった。

会期=2021年3月20日(土・祝)〜 6月22日(日)
主催=公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都現代美術館
助成=令和2年度文化庁優れた現代美術の国際発信促進事業
協賛=ブルームバーグL.P. / 株式会社ミクシィ
技術協力=パナソニック株式会社 / キヤノンマーケティングジャパン株式会社 / 株式会社DataSign / 株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメント / 株式会社Kyuzan
協力=株式会社アミューズ / ユニバーサル ミュージック合同会社 / 一般財団法人カルチャー・ヴィジョン・ジャパン / 株式会社アブストラクトエンジン

▶︎「ライゾマティクス_マルティプレックス」オンライン会場 https://mot.rhizomatiks.com

▶︎展覧会カタログ フィルムアート社より刊行 定価:3,200円(税別) http://filmart.co.jp/books/art/fine_arts/rhizomatiks_multiplex/


展示作品(抜粋)

《Rhizome》
2021
映像プロジェクション
導入展示空間に設置されたライゾマティクスを象徴するオリジナルロゴとリゾーム(地下茎)をかたどった本展メインビジュアルを投影する本展のプロローグ。
この作品は、ライゾマティクスが保有する15年間分のソースコードから、関数名や変数名などの単語の特徴をベクトル化し3次元にマッピングしたデータを用いて生成された映像である。
根(リゾーム)が地中を自在にのび広がり、様々な領域に生成の拠点を形成するかの如く、非中央集権的に多様かつ多彩な表現を追求してきたライゾマティクスの活動の形跡をこの映像から読み取ることができる。
技術協力=パナソニック株式会社


《Rhizomatiks Chronicle》
2021
映像インスタレーション
2006年に結成され、現在に至るまでクリエイティブな新陳代謝を繰り返すライゾマティクスの歴史を、映像インスタレーションとして呈示。15年間の575個のそれぞれのプロジェクトに手法、技術、媒体などの情報をメタデータとして付加することによって、プロジェクトがどのように発展していったか、また業界やフィールドを超えたプロジェクト同士の相関関係を可視化した。技術協力=キヤノンマーケティングジャパン株式会社


《NFTs and CryptoArt-Experiment》
2021
CryptoArtと呼ばれるNFT(代替不可能な暗号通貨)によって永続性、相互運用性、唯一性を保証し価値を担保されたデジタルアート作品が、そこで多様な創り手/受け手によりどう流通しているか、現状を可視化し、課題や今後のヴィジョンを問いかける新作を制作した。
本インスタレーションのなかで紹介した「“Gold Rush” – Visualization + Sonification of Opensea activity (2021)」は、BeepleがChristiesで出品したNFTをMetaKovaが$69,346,250で落札した3/11 10am ESTの前後1日のOpenseaのeventのデータを使用している。
CryptoArtにとって非常に象徴的な事件を機械学習技術(Convolutional Neural Network, t-SNE)、データビジュアリゼーションを用いて振り返る。
技術協力=キヤノンマーケティングジャパン株式会社/株式会社Kyuzan
Special thanks=KIZUNA / BlockchainPROseed


《Rhizomatiks×ELEVENPLAY“multiplex” 》
2021
ARインスタレーション、モバイルロボティクス、ミクストメディア
演出振付家MIKIKO率いるダンスカンパニー「ELEVENPLAY」のダンサーの動きをモーションデータ化し、映像プロジェクションや動くロボティクスとともに構成したインスタレーション。リアルな表現をバーチャル空間へハイブリッドに展開し、見る者の視点を移動転換させつつ、新たな人間性を考える空間を創出する。
技術協力=パナソニック株式会社


《RTK Laser Robotics Experiment》
2001
RTK-GNSS(リアルタイムキネマティック全球測位衛星システム。測位衛星からの情報と地上に設置した「基準局」からの位置情報データによって誤差数センチの測位が可能な技術)を利用した走行ロボットの実証実験。ロボットはソーラーパネル発電により会期中、中庭を自律走行し続ける。夜間はGPS衛星などの場所をロボットからのレーザー光で指し示し、そこに存在しているが肉眼では見えないものを可視化する。画面に表示されているのは夜間のレーザー照射時の様子と、現在のロボットの位置および測位衛星の位置をビジュアライズしたものである。


《particles 2021》
2021
インスタレーション(ボールサーキット、球体デバイス、半導体レーザー、コンピュータほか)
国内外で多数受賞し評価された《particles》(2011年)を、本展にあわせアップデート。有機的な螺旋構造を持つ巨大なレールの 上を多数のボールが転がり、空中に浮かぶ光の点滅が幻影的な残像を生み出した。球の位置を正確にトラッキングして照射するレーザーによって、 独創的かつ立体的な視覚表現を実現した。

「ライゾマティクス_マルティプレックス」展示風景(東京都現代美術館、2021年) photo by Muryo Homma(Rhizomatiks)